Noto SDGs Field Reports, No. 4
【能登SDGsフィールドレポート 第4号】SDGs から始まる学び合い(2)
能登SDGsフィールドレポート第3号の内容を読んだ知り合いのサトウさん(仮名)から感想が届いた。
僕の言葉に「違和感があった」というのだ。
サトウさんのご了解をいただいたので、その内容をここで共有したい。
サトウさんが抱いた違和感の根源は、「今の時代自分で調べられる」という僕の言葉であった。
自分で調べられる度合いは、暮らし方やインターネット接続環境などによっても違ってくる。
情報の入手においてハンディキャップのある人たちがいるのが現実。
そのようななかで、SDGsに関する疑問を入り口としてラボのスタッフと対話が生まれることはとても貴重なことではないか、というのがサトウさんのメッセージだった。
第3号の記事自体が、僕が抱いた「違和感」を発端として書かれたものだった。
そして、それを読んだサトウさんは僕の主張に対して「違和感」を覚え、ご自身の意見を送ってきたのだ。
いわば、「違和感への違和感」?
僕からサトウさんへの返答もここで共有したい。
「ありがとうございます。おっしゃることすべてそのとおりだと思います。
特に、情報入手についてハンディキャップのある人たちへの配慮は大切ですね。
この点、僕の人としての器量が小さいことの表れです。
素直に反省したいと思います。」
「それだけでなく、全般的に僕の考えには至らない点が多々あることでしょう。
違和感を持つ読者がいても当然です。」
「そこで、ぜひ反論を投げかけてほしいいのです。
中身のある反論を投げることができるということ。
それは、この話題が既に『自分ごと』になっている証しです。」
「考えは同じでなくてよい。
お互いに投げ合うことが大事。
まさにキャッチボールですね。
同じ球場のなかで投げ合うことで、学び合いが進むのだと思います。
関心があるなら、同じ球場のなかで、『自分ごとのボール』を投げてきてほしい!
その呼びかけが今回の原稿だったのかもしれません。
今回、サトウさんとのキャッチボールが、僕にとって改めて色々なことを考える機会になりました。」
以上が僕からサトウさんへの返答だった。
サトウさんはこうも言っていた。
難しい問いを誰かから受けたとき、その相手に合わせたその場での最善の「答え」をしっかり出すこと。
それが相手との信頼関係につながる。
全てを正しく説明することだけでなく、その相手との関係における「正解」は何かをその都度見極めることが大切ではないか。
僕は、サトウさんのこの言葉に、後頭部を殴られたような衝撃を感じた。
自分にはそのようなやり取りはまだまったくできていないな、と気付かされのだ。
サトウさんと僕のキャッチボールは個人的なものだった。
でも、そこから僕が得た気づきを、他の人たちとも共有したいという衝動に駆られた。
そこで、「公開キャッチボール」にさせてもらうことをサトウさんに提案した。
サトウさんは快諾してくれた。
ただ、元の言葉そのままでなく間接話法のほうがよい、という希望付きで。
ということで、上のような書きぶりとなった。
このキャッチボールを見て、他にも自分ごとのボールを投げ込んでくれる人がいたら理想。
そうすれば、複数の人たちの間の学び合いにつながる。
暗くて人の顔が見えない客席に向かってたくさんのボールを投げ込んでも空しいだけ。
お互いが「自分ごとのボール」を投げ合うキャッチボールなら大いに歓迎。
どんなボールでも構わない。
ところで、サトウさんっていったい誰?
これを読んだ人にはその疑問が湧くことだろう。
一応断っておくが、これは作り話ではない。
サトウさんとのやり取りは実際にあったことだ。
ただし、それが誰かなのかは明かさないでおこう。
そういう約束だから。
あなたが次のサトウさんです。
北村健二(社会分野コーディネーター)
能登SDGsフィールドレポート:日々の活動のなかで北村個人が感じることを共有するための媒体で、組織の立場や見解を示すものではありません。